精神分析における精神病と神経症 フロイト
フロイトが精神病の精神病理について詳説した論文は「自伝的に記述されたパラノイア(妄想性痴呆)の症例に関する精神分析的考察」と1915年に書かれた「悲哀とメランコリー」の2編である。前者は表題にあるように障害を持つ患者本人の記述した手記についての心理的剖検というべき論文であり、妄想形成についての考察が主となっている。後者は対象喪失という主題について、「喪の作業」という健全な悲哀反応と病的なメランコリーの違いを考察している。
神経症と精神病についてフロイトは両者に共通する発症の規制を①自我が現実から引き離される、②現実との関係をエスの犠牲の上で自律する、の二段階に分けた。
そして、神経症の病理は後者に、精神病の病理は前者に比重が置かれるとした。
つづく