総括 10
ユング心理学では、夢を中心に、転回されます。フロイトよりも、ユング心理学では、夢が大切になります。イメージの世界でもあります。
前回までの元型はただ、継列されているかに思えるでしょうが、順を追って書いてきました。ペルソナに対して、シャドウ(影)を、意識に対して無意識が、アニマに対してアニムスを、産婆術的な弁証法で、これはソクラテス的ですが、ユングはこれを使って、合一をめざします。これらは、アニマ・アニムスなどは、両性具有的と表現されています。
これらは、物語があります。例えば、アニムス・アニマは、始め男と女はひとつのものでした。強大な力を持っていました。。神さえ恐れていました。神は、このものを、男と女に分け、力をうばいました。このために、男女は、片われを求めて、さまよう者となりました。プラトンがあらわしています。錬金術の聖なる結婚を現わしているように思えます。
そして独特なのが、普遍的無意識です。この集合的無意識と個人的無意識の中心、トータル(自我)な中心としてのセルフです。このセルフは捕えられません。そこで元型(アーキタイプ)が、セルフに近いものとして現らわれるということです。
しかし、女性が出てくれば、すぐさまアニマだとかはいえるのかという疑問が湧いてきます。そこで、判断中止をして、次に見る夢を待っていると、アニマかそうでないかがわかるということでしょう。決めつけないことが大切だということになりますし、わからなければ、待っていると夢が夢を分析してくれます。
また、症状が現れたりして、本人は苦しい、と訴えますが、それから変化していき、症状が消えていた、ということもあります。初回夢が、先の見通しをさし示すこともあり、気をつけないと、本人の訴えだけ、聞いていて、ふと、初回夢を忘れていることがあり、初回夢が先の見通しを予見していたりします。
統合失調症の人は、夢をみない、と言われています。起きて夢見る人といえます。見るとしたら寛解期に、夢を見る人となります。何故そうなのかは、わかりません。唯、普遍的な現われを表現する人と思えます。実際、ユングは、統合失調症の人をこのように思っていました。
もっと、大きな問題は、個人の夢か普遍的無意識からの夢かということです。ユングの夢をみてますと、下降していく夢が多く、17世紀かもっと下の段階か、ということです。彼の夢は下降の一途を辿っていきます。それはユング独特の夢です。ユングは神話的な物語りに浸ります。そういった夢が多くなれば、誰もが、不可思議な夢をみたと、興味をもちます。
これは、ユングの夢独特のものです。フロイトの夢は、個人的無意識を現します。