神経症論 フロイト
神経症とは何かということ
神経症は、フロイトによって、主に心因性の精神障害として、無意識の力動的な意味が探求された。
しかし、現代では、生物学的な要因の関与も少なくないことが明らかになったために、神経症という用語は用いられずに、同様の症状は不安障害(パニック障害、全般性不安障害、社会不安障害、強迫性障害、恐怖症など)、身体表現性障害、適応障害、気分変調性障害などの診断名で呼ばれるようになった。
フロイトの言う神経症について
神経症は、不安、恐怖、強迫、抑うつ、心気、離人、ヒステリーなどの症状のいずれか(複数の場合もある)を有し、日常生活に支障を来たすような困難な状態を呈しているが、精神病とは異なり、原則として幻覚や妄想などの症状は認められず、病識(自分が病気であるという認識)があり、現実検討能力が保たれている。
例えば、不安神経症は、浮動性不安、予期不安と呼ばれる。慢性的な漠然とした不安が持続するタイプ(現代では全般性不安障害に相当)と、発作性の強い不安に襲われるタイプ(現代の診断名ではパニック障害に相当)がある。
次に、抑うつ神経症(現代の診断名では適応障害や気分変調症に相当)は、抑うつ気分が主体のもので、うつ病とは異なり、パーソナリティや心因性の要素が強いものを言う。恐怖症は(ゴキブリ、蜘蛛の巣など)、疾病(癌、エイズ、性病など)不潔さ、閉所、暗所、高所乗り物などを必要以上に怖がり、そのために生活に支障を来たす疾患である。
つづく