カウンセリングの始め方「現代アドラー心理学」
初回面接アドラーはどのようにカウンセリングを始めたか。
次のようです。
私はあなたと心を開いたフランクな姿勢でやって生きたいと思います。言うべきことがあればはっきりと言います。あなたも同じようにしてほしいと思います。
最初のインタビューの後に、クライアントの支払い能力に応じた支払い額を決定した後で、私は次のようにいう。
『いらっしゃるたびに支払っていただくほうがいいです。もし不可能ならば、他の取り決めも出来ますが、二つの理由で、毎回払いのほうがいいと思います。第一に毎回払えばお互いに貸し借りなしですみます。あなたが来られるとき、仮があるという風に感じてほしくないですし、私もそういうふうに感じたくありません。ある人は来ないと損だと感じてセラピストに会うことを続けます。払った分だけは来るというのです。しかし、毎回払いなら、私達は平等です。
第二に、セラピーは仕事です。セラピーの過程を楽しんでいただきたいですが、それだけの価値があるかどうか考えてほしいのです。どれ程進歩しているか。』
『支払いについては、私は次のようなことを言う。費用は\10000円ですが、それは同様の経験を持つ他の人々に請求するものと同じです。秘書が毎月請求します。出来るなら、請求されたものをお払いください。もしできないならば、出来るだけのものをお払いください。もし全然払えないのであれば、それもけっこうです。費用を払えないならば、セラピーが受けられないと思ってほしくないです。
ドライカースによれば、アドラー派のセラピストは、四つの目標を持っている。
1 「良い関係」を打ち立てること
2 クライアントの私的な論理と隠された目標を発見すること
3 クライエントが上記のことを洞察するのを助け、より良い理解に導くこと
4 クライエントがよりよい目標を発見するのを助け、再方向づけをすること
アドラー派のセラピストの理想型
感情的には、強靭で暖かく、やさしく、勇気があり、ユーモアを解し、積極的な人
認知的には博識で、直観力に優れ、明晰な思考をし、鋭敏な人
行動的には敏捷で、機敏で、適切な間合いを取り、有能な人
アドラー派のカウンセリングの論理(経過)
1 カウンセラーは問題を理解しようとする
2 カウンセラーがその問題の性格についてかなり確信が持てるときには(それは理論と経験に由来する)、カウンセラーはクライエントが選択すべきオプションを説明し、特定の助言を与える。
3 するとクライエントは、その助言の背後にある理論を理解し、正確に何をすべきかを理解する。その結果カウンセラーは認識のためのデーターを得る。我々は、カウンセラーの知性に達したのであり、理性及び論理と取り組んでいるのである。このステップを終えるには、数分あるいは数時間かかるかもしれない。
4 今やクライエントは、これまで論じられてきたことを実行に移す用意が出来ているーーそして普通、助言は旨く作用する。もともとルドルフ・ドライカースによって開発された「賭けの技術」が説明されている。この技術においては、カウンセラーは、助言が実行されると良い結果が得られるというほうに、実際にお金を賭ける。だから、クライエントは成功すると、賭け金を失うことになるのだ!
5 それからクライエントは、提案された方法を十分試してみて、その後で報告をすることになる。
「現代アドラー心理学(下)」より引用いたします。