家庭での人格障害がもたらす人間関係ストレスと日常トラブル

2025年1月20日この記事を書いた人：心理カウンセリング浦《浦光一》 0件のコメント
人格障害

【家庭でのパーソナリティ障害の対応策】家庭での人格障害がもたらす苦痛と人間関係のストレス：家族に潜む人格障害のサインと対処法を徹底解説

家庭での人格障害がもたらす苦痛とは？家族に潜む人格障害のサインと対処法を徹底解説

「家にいてもどうしてこんなに気が休まらないんだろう」「家族と一緒にいるはずなのに、むしろ疲れてしまう……」——もしこんな思いを抱えているなら、ただの性格の不一致ではなく、人格障害（パーソナリティ障害）の特性が家族内に潜んでいる可能性があります。たとえば、10代の娘さんが深夜まで泣き叫び、家族全員を巻き込んで消耗させたり、帰宅するたびに家が少し散らかっているだけで怒鳴る配偶者がいたり……。「家族なのに、なぜここまで傷つけ合わなくちゃいけないの？」と、やりきれない気持ちになる方も少なくないはずです。

血縁や婚姻関係という特別な絆があるからこそ、「こんなこと外には言えない」「家族だから支えてあげないと」と、自分が限界を超えるまで我慢してしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、無理を重ねてしまうほど、あなた自身の心身が傷つき、日々の生活さえままならなくなるリスクがあります。本記事では、そんな“家庭での人格障害”がもたらす問題に光を当て、具体的なエピソードを交えながら「なぜここまで苦しくなるのか」を解き明かしていきます。

「家族だから仕方ない……」と自分を責める前に、まずはこの記事を通して問題の背景や原因、そして今後の対処法の糸口を知ってみませんか？たとえ相手を変えることが難しくても、あなたができる工夫やサポートの手段を取り入れることで、驚くほど心が軽くなるかもしれません。自分を守りながら家族との関係を少しでも穏やかにするための一歩を、このページをきっかけに踏み出していただければ幸いです。

愛知県名古屋市の心理カウンセラー　浦光一

なぜ“家庭での人格障害”が問題になるのか

「家なのに、なぜか落ち着けない」——家庭が安らぎの場にならなくなる苦しさ

「外では仕事や学校などで一日中気を張っているから、せめて家ではのんびり過ごしたい」——多くの人がそう望むはずです。ところが、家族の一人が極端な自己中心性を持っていたり、ちょっとしたことで感情を爆発させたりすると、家庭が“居心地の悪い場所”に変わってしまうことがあります。

※本記事で紹介している事例は、いずれもプライバシーを最優先に考慮し、個人が特定されないように配慮したうえで掲載しています。具体的には、当事者の同意を得たうえで、一部の属性や背景を変更したり、複数のケースを参考にして再構成したりすることで、個人や企業を特定できないように工夫しています。読者の皆さまが安心して事例に触れられるよう、守秘義務とプライバシー保護を徹底して取り組んでおりますので、安心してお読みいただければ幸いです。

具体的なエピソード

娘さんがリビングで過度に泣き叫ぶ
- 10代の娘が何か気に入らないことがあると、「自分は誰にも愛されていない！」と泣き叫び、一晩中騒ぎ続ける。家族は翌日も仕事や学校があるため睡眠を取りたいのに、何度なだめても落ち着かない。まるで境界性パーソナリティ障害の“見捨てられ不安”を感じさせるような言動が続き、親やきょうだいはへとへとになる。
- 次の日、娘は何事もなかったかのようにケロリとしているが、家族は疲れ果てて生活のリズムが崩れている。
配偶者が帰宅するたびに怒鳴り声
- 仕事から帰ってくるたび、玄関を開けると「家の中がちょっと散らかっているだけ」で怒鳴り始める夫（妻）。自分が在宅中にまったく家事をしていないのに、他人（配偶者や子ども）には完璧を求める。
- 妻（夫）は“家に帰るのが憂うつ”になるが、これまで「家族だから」と我慢してしまい、そろそろ限界を感じている。

こうした状況では、「家＝安らぐ場所」のはずが、逆にストレスと恐怖を感じる場になり得ます。家族が人格障害の特性を持っている場合、その言動がきっかけで疲弊し、眠れない、胃が痛い、家に帰りたくないなどの症状が生じることも珍しくありません。

“家族”だからこそ逃げ場がない——血縁・婚姻関係ゆえの心理的拘束

友人や同僚であれば「距離を置こう」と割り切ることもできます。けれども、「家族」の場合はそう簡単にはいきません。親子の縁を切るのはハードルが高いですし、夫婦でも子どもがいれば離婚に踏み切るのは容易ではありません。また、独身時代なら物理的に家を出るという選択肢があっても、経済的・社会的理由でそうできない人も多いでしょう。

具体的なエピソード

高齢の親が極端に自己中心的（自己愛性パーソナリティ障害を疑わせる）
- 「長男なんだから介護するのは当たり前」「もっと頻繁に会いに来て世話をしろ」など、子どもの負担を考えずに要求してくる。介護が必要な状態にもかかわらず、実際のところは家に来た子どもを一方的に罵倒する。
- 子どもは親を見捨てることに強い罪悪感を覚え、逃げ場を失う。「兄弟と協力しようにも、他の兄弟は親の言動があまりにひどいから距離を置いてしまい、自分だけが負担を背負っている」と孤立しやすい。
離婚を考えていても、相手の激しい依存や攻撃が怖くて踏み切れない
- 配偶者が「離婚するなら死んでやる！」と脅してきたり、「子どもを連れていく権利はない」と法的根拠のない主張を繰り返す。
- 弁護士に相談したくても「家族のことを外部に話すなんて裏切りでは？」と感じてしまう日本独特の文化的プレッシャーもある。

このように、家族ならではの強い結びつきが、ある種の“心理的拘束”になり、被害を受ける側が逃げ出せなくなってしまうのです。人格障害の特性を持つ相手に振り回され、“自分が支えなければならない”という思い込みから無理を重ねてしまう人は多いでしょう。

“人格障害の特性”が加速させる家族トラブル——周囲への二次被害

人格障害の特性を持つ人が家族内にいると、当事者自身ももちろん苦しんでいますが、それに巻き込まれる家族（被害者という言葉は強いかもしれませんが）も深刻なダメージを受けることが多いです。具体的には、

境界性パーソナリティ障害
- しばしば「見捨てられ不安」から家族に対し過激な行動を取る。
- たとえば、親が子どもに「あなたが離れたら私が死んでしまう」と泣き叫び、子どもが進学や就職で家を出ることを阻止する。
- 家族は「そんなこと言われても……」と思いながらも罪悪感から逆らえない。
自己愛性パーソナリティ障害
- 家族を自分の持ち物のように扱い、功績や栄誉はすべて自分が得るものと考えがち。
- 子どもの学費や生活費を出してやっている代わりに、子どもの意思や行動を全否定するなど、徹底的に支配を試みる。
- いわば「家族が自分を崇拝して当然」と思い込み、少しでも反抗的な態度を取られると激怒する。
反社会性パーソナリティ障害
- 法律や道徳を無視した行動を家庭内でも行い、DV（ドメスティックバイオレンス）や金銭トラブル、子どもへの虐待に発展するケースも。
- 警察沙汰になっても、被害を受ける家族が「通報したらもっとひどい目に遭うのでは」と恐れて何もできない。

こうした特性が家庭内で顕在化すると、“身近にいるからこそ被害がエスカレートする”という現象が起こりやすく、家族のメンタルヘルスは深刻に脅かされます。周囲に相談しても「家のことは自分たちで何とかしろ」と言われたり、相手が人前では良い人を装っていると「まさかそんなひどいことをするなんて信じられない」と周囲から信じてもらえないといった二次被害も生じがちです。

その他、さまざまな人格障害（パーソナリティ障害）の種類についてはこちらのページをご覧ください。

👉 パーソナリティ障害の種類一覧【DSM-5】

“なぜ”これほど苦しくなるのか——家族だからこその心理的背景

家族間トラブルが人格障害によってさらに複雑化する背景には、次のような心理的要因があります。

近い存在ゆえのエスカレート
- 家族だからこそ、プライベートな弱みや秘密を握られている場合があり、そこを突かれると逃げにくい。
- また、本人も家族なら「どんなに暴言を吐いても見捨てないだろう」と思い込み、感情をぶつけてくる。
“血のつながり”が作る無意識の縛り
- 「親を嫌いになってはいけない」「きょうだいとは助け合うものだ」という社会的通念。
- これが、人格障害の特性に苦しめられている被害者を逆に追い詰め、「逃げられない」「耐えるしかない」と思わせる。
世間体や家族の評判を気にする
- 「家族にこんな問題があるなんて知られたら恥ずかしい」「周囲の目が気になる」といった感情が、相談を遅らせる。
- 結果的に、家族内だけで抱え込み、トラブルが深刻化する。
家族それぞれの思い込みや相手への期待
- 「もっと優しくしてあげれば変わるはず」「私が悪い子だから親がこうなるんだ」など、自分を責めるパターン。
- あるいは、「あの人は本当は悪い人じゃない」「いつか分かってくれる」と期待しすぎて状況を放置してしまうケース。

実際のエピソード：あなたが体験してきたかもしれない具体例

ここで、さらに具体的な家庭内エピソードを紹介します。あなたがもし、「似たような状況だ」と思うなら、これらのケースは人格障害の特性が絡んでいる可能性があります。

妻が感情の起伏を激しく出し、夫が疲れ果てている
- 夫がほんの少し家事をやり忘れただけで、「どうして私ばかりこんなに苦労しないといけないの！」と声を荒らげて泣き叫び、次の日は「昨日はごめんね、私が悪かった」とやや過剰に謝罪する。
- 夫は「どの態度が本心か分からず、気が休まらない」と感じているが、妻に振り回され続ける自分が情けなくて、誰にも相談できない。
父親が自己愛性の特性を持ち、家族の成功を根こそぎ自分の功績にする
- 例えば娘が大学に合格したり息子が就職先で表彰されたりしても、「それは俺が教育費を出してやったからだ」「俺の遺伝子のおかげだ」と誇示する。
- 家族が「私たちも努力したんだよ」と言っても、「親が言う通りにやったからだろう」と全否定される。家族は虚しさを感じ、家庭内の会話がどんどん減っていく。
母親が回避性パーソナリティ傾向を持ち、何も決められず子どもに責任を押し付ける
- 買い物に行っても「どれがいいと思う？お母さんは分からないから決めて」とすべて子どもに任せる。家族の予定を決めようとしても「私は判断できない…」。
- 子どもが仕方なく決めるものの、失敗すると母親が「だからあなたの考えが良くなかった」と責め、逃げ道としての回避行動を繰り返す。
- 子どもは「自分が悪いのだろうか」と萎縮し、自己肯定感が低下する。
兄妹間での激しいもめごと（相続問題、介護問題）
- 兄が「親を介護するのはお前だろ」と妹に押し付け、一方で遺産は自分が多くもらうと主張。攻撃的かつ妄想的な言い分を展開し、まともな話し合いができない。
- 妹は「兄に言っても通じないし、親は高齢だから事を荒立てたくない」と我慢を続け、結果的に介護負担を一手に引き受ける羽目に。

なぜ問題が“家族の中で”長期化するのか

家族の場合、「外部に相談しづらい」という特性があります。友人や第三者に話すとしても、「家のことは自分たちで何とかすべき」という固定観念があったり、相手の人格を否定するような話を外部に漏らすことに罪悪感を覚えたりしてしまいがち。また、相手が社会的に地位のある人物だったりすると、「家の中でそんなことが起きているなんて信じてもらえないだろう」という思いから、声を上げられないケースも多いです。

こうした事情で、家族全体が“沈黙の同盟”を結んでしまうことがあります。たとえば、母親が父親の横暴な性格に悩んでいても、子どもたちに「お父さんは外では良い人と思われてるから、言わないで」と口止めする。すると、子どもは「こんな理不尽な状況だけど、家の中の秘密として隠さないといけないんだ」と学習し、苦しみを内に抱えたまま成長する…。このようにして問題が長引いていくのです。

“家庭での人格障害”がもたらす心理的影響

慢性的なストレス反応: 睡眠不足、頭痛、胃痛、動悸などが続く。
自己評価の低下: 「自分が悪いから怒られるのかもしれない」と考え、必要以上に自分を責める。
対人関係への不安: 家の外でも、人を信用できなくなる、対立が怖くて意見を言えないなどの影響が波及する。
離職・不登校など、社会的活動の困難: 家庭環境に疲弊して、学校や仕事を続ける余力がなくなる。

それでも対応策はある——前向きに考えるための土台づくり

「こんなに根が深い問題、もう解決しようがないのでは…」と思う方もいるでしょう。確かに、家族関係は複雑で、相手を簡単に変えられるわけではありません。しかし、

問題を問題として認識する
- 「家族だから仕方ない」と我慢し続けるのではなく、「これは人格障害かもしれない。プロの助けが必要かも」と気づくだけでも一歩前進。
自分がコントロールできることに焦点を当てる
- 相手を変えるのは難しいが、自分の境界設定や行動パターン、ストレスケアを学ぶことで被害を最小限に抑えられる。
外部の専門家や公的機関の利用
- 家族カウンセリング、地域の保健センター、福祉機関、弁護士などと連携し、“家族だけで”抱えない。
仲間やコミュニティの存在
- 同じ問題に悩む人々のグループや家族会に参加することで、孤立感が和らぐ。「あの人だけじゃないんだ」と知ると、気力が戻ることがある。

これらを押さえておくと、たとえ相手がすぐに変わらなくても、自分の心の負担を軽くしながら生活していく術が少しずつ見えてきます。

家庭だからこそ、小さな工夫が大きな変化をもたらす

家庭は、人生の大部分を占めるとても大切な場です。その一番身近な空間が、人格障害の特性によって荒れてしまうと、心身ともに大きなダメージを受けるのは自然なこと。だからこそ、「どうせ無理」とあきらめる前に、相手の行動や思考パターンを理解し、工夫や対策を試してみるのが大切です。相手の人格を全部変えようとするのではなく、自分ができる範囲でのコミュニケーションや境界線の設定から始めてみるだけで、意外なほどストレスが軽減されるケースがあります。

そして、もしあなたが今まさに「こんなのもう耐えられない」「誰にもわかってもらえない」と思っているなら、どうか一人で抱え込まないでください。専門家への相談、公的機関の利用、家族以外の協力者との連携——あらゆる手段を試していいのです。家族関係がこじれたままでは、当の本人も含め、みんなが苦しいまま。あなたが声を上げることで、状況が少しでも改善するきっかけが生まれるかもしれません。

「家族なのに、こんなにしんどいのはおかしい」と感じたら、それはあなた自身の心がSOSを出しているサインです。人格障害の特性という要因に気づき、正しい知識やサポートを得ながら進むことで、長年抱えてきた苦しみが和らいでいく可能性があります。小さな一歩かもしれませんが、その一歩こそが家族みんなの未来を変えていく大きな力となるでしょう。もしよければ、続く記事や具体的な対処法を、一緒に見つけていってくださいね。あなたの家庭が少しでも安らぎと安心を取り戻せるよう、心から願っています。