境界性人格障害
ICD-10に情緒不安定性人格障害境界型として取り入れられています。
従来の境界例のうち、行動パターンや感情の不安定さを主徴とする人格発達の障害がここに含まれます。
境界性人格障害では、激しい怒りや抑うつ(特に慢性的な空虚感)、焦燥などの著しい気分の変動が前景にあるのが特徴です。
対人関係では孤独に耐えられず、周囲の人々を感情的に強く巻き込み、過剰な理想化やその逆の過小評価を見せます。
このような動揺によって、しばしば自傷行為や自殺企図、そして浪費などの衝動行動や薬物常用に走ります。
特に対象から見捨てられることを恐れ、その状況で激しい自己破壊行動が起こすことが知られています。
これは精神科診療で最も多く問題になる人格障害で、やや女性に多いとされます。
治療としては、精神療法が従来から有力とされていましたが、近年は薬物療法、認知行動療法など広い範囲の治療法が議論されています。
まとまった療法がないまま来ているというのが現状ではないでしょうか。
また、うつ病との関係で見てみますと、境界性人格障害が改善すると、うつ病も改善されることが多く、うつ病の治療によって、衝動的な行動が治まる人もいます。
これが合併すると、自己破壊への衝動が増し、希死念慮がまします。
境界性人格障害は、状態像を現すだけで、決定的な解決方法が見つかっていない状況があり、残念です。
具体例は次回をお待ちください。
筆者 心理カウンセラー 浦