心理カウンセリングのはじめ方 「現代アドラー心理学」
つづき
セラピストはまた次のようなことがらに一番興味を持っているであろう。
・ クライエントの態度。楽天的か悲観的か。協力的か否定的か。紹介。クライエントは自発的に来たのか、それとも誰かに強制されてきたのか。
・ クライエントの期待は合理的なものか。
・ セラピストとの関係。セラピストはクライエントと一緒にいて気楽になれるか、それとも反対か。
例えば;次の記憶を注意深く再読してほしい。それは、この人物について何を告げているのであろうか。記録した彼の記憶は次のとうりである。
1 私は自分自身の母でさえ信頼できない。母は、私が傷つけられるかもしれないところに置き去りにする。
2 見知らぬ人は信用できない。相手を怒らせなくても攻撃してくるだろう。
3 自分の母でさえ私を信じないし、かばってもくれない。世界は敵意に満ちたジャングルである。
・・・この人の特徴は、あらゆる人に対して疑いを持っていて、絶えず防衛していることであり、他人が傷つける可能性を用心していることである。彼は、非常に魅力的なパーソナリテイを発達させたが、それは他人に対する深い恐れと疑いを含んでいる。彼は他人を騙すし、言い訳をする。なぜなら他人が彼を騙そうとしていると確信しているからである。彼の攻撃的作為は、彼の考えでは、他人の敵意に対する防衛なのである。
この人にとっては、初期の記憶はX線である。多くの人の意見では全ての投影的テクニックのうちで最も優れたものである。これは早期回想である。
つづく