夢分析
夢が補償の目的に役立つことは、述べた。この仮定は、夢が正常な心理現象であり、無意識の反応や自然発生的な衝動を意識に伝えるものであることを意味している。多くの夢は、夢を見た人の助けによって解釈することができる。夢を見た人は、夢のイメージにたいする連想や、夢のイメージの文脈を述べ、それによって夢のすべての面を見ることが出来る。
この方法は、あらゆる普通の事例に適切である。しかし、それが強迫的な夢であるとか、非常に情動性の高い夢の場合には、個人的ではないものとか、あるいは、個人的な経験から引き出すことの出来ないような要素がしばしば生じるという事実を、考慮に入れなければならない。それらの要素は、フロイトが古代の残存物と呼んだものである。
これは、その存在を個人自身の生活からは何ら説明することができない心の形態で、原始代的で古くから受け継いだ遺伝的な人間のこころの形態であるように見える。
人間の身体が、長い進化的な歴史を背景に持っている器官の博物館をなしているように、心も歴史なしに生みだされるわけがない。ここで歴史というのは、、心が作り上げられる上において、言語や他の文化的な伝統をとおしてその過去に意識的に参照することを意味してない。ここでは、人間の心がまだ動物に近かったような古い時代の人間における、生物学的、先史的、無意識的な心の発達について述べている。
これらが、心の基礎を形つくっている。